ポリビニルアルコール(ポバール)
ポバールは、化学品名をポリビニルアルコールといい、合成繊維ビニロンの原料として日本で生産が開始された水溶性の合成樹脂です。今日では、そのユニークな性質を活かして、フィルムおよびアセタール樹脂の原料、繊維加工剤、接着剤、塩化ビニルの重合安定剤、無機物のバインダーなど広い用途で利用されています。顆粒品と粉末品をラインナップしています。
主な特長
水溶性
ポバールは水溶性ポリマーで、水には任意の比率で溶解します。ポバール水溶液は、適当な粘度を有し、広範囲の基材に塗工、乾燥させることで表面被膜を形成できます。
耐溶剤性
ジメチルスルホキシドなど特殊な溶剤と水にしか溶解しません。一般の有機溶剤、動植物油、グリースには溶解せず、安定です。
接着力
水酸基を有し、紙、木材などの親水性の表面を持つ物質に対して強い接着性を示します。
化学反応性
水酸基を有するため、アセタール化反応やホウ酸、ホウ砂との反応などにより改質を行うことができます。
皮膜形成性
造膜性に優れ、透明性が高く、高強度、ガスバリア性、防曇性、非帯電性などに優れたフィルムを形成します。
界面活性能
親水性の水酸基と疎水性の酢酸基を持っているため、界面活性能を示し、乳化・分散性に優れています。
安定性
安定した高分子で、一般環境下では変質や劣化は起こりません。
主な用途
繊維加工
- 経糸糊剤
- 綿、レーヨンスフなどの親水性繊維、ポリエステル、綿/エステルなどの合成混紡糸、フィラメント糸などの製織効率や織物品質を向上
- 織物加工剤
- 織物の硬仕上げ、洗濯糊など、一時的に織物の風合いを硬くしたり、粘りを与えることで、加工性を改良したり商品特性を向上
紙加工剤
- クリヤーコーティング
- 紙や板紙の表面に塗工し、印刷適正、平滑性、耐摩擦性、バリヤー性、耐折強度、破裂強度、耐油性、耐薬品性を向上
- 顔料バインダー
- クレー、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの顔料コーティングのバインダーとして、耐水性、ピッキング強度、白度、印刷光沢などの優れた塗工紙を製造
- 内添バインダー
- レーヨン紙、板紙、ガラスペーパーなどの強度向上
接着剤、
粘結剤
- 接着剤
- 合紙、段ボール、紙管、クラフトバンド、製本などの紙加工製品用接着剤や、切手、ラベルなどの再湿接着剤
尿素-ホルマリン樹脂などの合板用接着剤の改質、変性剤
- 粘結剤
- フェライトやセラミックス成形用の一次バインダー、農薬の造粒バインダー
乳化分散剤
- 乳化分散剤
- 酢酸ビニルの乳化重合や塩化ビニルの懸濁重合における安定剤
フィルム、
成形品
- フィルム
- 農薬包装、種子テープ、ランドリーバッグなど水溶性フィルム
繊維包装、食品包装など不溶性フィルム
- 成形品
- スポンジ、研磨剤、耐油ホースなど
各商品についての詳細は、日本酢ビ・ポバール株式会社のホームページからもご覧いただけます。
